2011年10月25日火曜日

韓流にほえろ


『オールド・ボーイ 監督:パク・チャヌク/韓国/2003年

韓国のパク・チャヌク監督作品であり、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。
作品名の「OLD BOY」は、どの意味で使っているのでしょうか。"Come on, old boy!"みたいな、「ようお前」とか、そういう呼びかけのときに使うあれでしょうか。それとも、同窓生(OB)の意味で? 中年男という意味もあります。あと、日本語的解釈かもしれませんが、いつまでたっても大人にならない子どものような大人? まあ、そのどれもが合うような男たちが、わいわいがちゃがちゃしている映画でした。女子率低い。


妻と娘を持つ平凡なサラリーマン、オ・デスは、泥酔した雨の夜、何者かに拉致された。ユニットバスとベッドと机、そしてテレビしかない部屋。食事は扉の小窓から差し出される餃子定食のみ。自由が制限された生活を強いられるデスはある日、テレビで自分の妻が殺害され、さらに自分が殺人犯にされたことを知る。
自殺しようとするデス。しかし、それすらも許されない。残る道はただ一つ、自分を拉致し、妻を殺害した何者かに復讐することだ。彼は箸で壁を削り、脱出を試みた。何年もかけて、こつこつと穴を掘り続け、やっと外に出られる、と思った矢先、気がつけばデスは建物の屋上に横たわっていた。拉致されて15年経った日のことだ。拉致した何者かがデスを解放したのだ。
デスは、拉致した者の正体をつきとめ、復讐するべく行動を開始する。


最後まで主人公、オ・デスを演じたチェ・ミンシクがかっこよく見えなかった。韓国では、日本人俳優で例えると誰のような扱いなんでしょうか? 私は武田鉄矢にしか見えません。
泥酔するダメ男から入って、妻を復讐するためにシリアスなキャラになって、最後らへんは大切な人を守るためには何でもする男に。愛する人のために一生懸命だという意味では、かっこいいのかも。しかし、いくらなんでも自分で舌を切らんでもいいでしょうに。誰もやれって言うてませんやん。


デスをかくまった女の子、ミド役のカン・ヘギョンが可愛らしかった。笑顔がすてき。天真爛漫な感じが出ていました。
なんでそんな良い子がデスみたいなおっさんを部屋に入れて傷の手当をしてかくまうの? エロゲーの設定か! と思わずにはいられませんでしたが、そこにはちゃんとした意味がありました。なるほどな。そういうものなのか、と納得。


バイオレンス場面が多々ありました。
廊下での格闘シーンは、カプコンのゲーム「ファイナルファイト」を思い出して、ついついコントローラーを握りたくなりましたよ。
でも、格闘シーン以外のバイオレンスはエグうございます。拷問に歯を抜くなんて、そんな発想ないわー。せめて爪やわー。


とまあ、観ていていろいろ思いましたが、肝心の内容は……。
復讐に燃えるデスが、あっけなく敵の正体に辿り着く。そして、とんとん拍子でなぜ、敵が自分を恨んでいるのか思い出す。もう、ストレートな展開でした。ミスリードも何もなしで、あっさり。謎解き映画ってこんなもんだっけか。そう思いながら観ていると、最後の最後で「うわー」とどん引くような事実が隠されていました。これには驚いた。油断していました。


しかし、カンヌのグランプリということで期待していたのですが、個人的には期待はずれ感が否めません。ふつうの映画として観る分にはドキドキできて面白いと思うのですが。個人の内面を描き出しているかどうかまでは、分かりませんでした。



『親切なクムジャさん監督:パク・チャヌク/韓国/2005年

韓国の映画です。韓流ドラマ「チャングムの誓い」のイ・ヨンエ主演。ヨンエさん、とても綺麗です。
しかしヨンエさんの愛らしさをもってしても補いきれないほどのイヤな絵がところどころ入っていて気分が悪くなりました。でもまあ、噂に聞いていたほどの強烈さではなかったかも。(とは言えわたくし、「タクシデルミア」というお下劣な映画でだいぶグロなどには慣れております)。軽く変な物が観たいという方にはおすすめなんじゃないでしょうか。

その美貌で世間を騒がせた幼児誘拐殺人犯のクムジャが出獄。刑務所内では模範囚となり、他の服役囚に献身的に尽くしていたことから「親切なクムジャさん」と呼ばれ、慕われていた。
しかし刑務所から一歩出たとたん、クムジャは親切な仮面を脱ぎ捨てる。彼女は復讐を計画していたのだ。刑務所で親切にすることで仲間を増やしていたのもそのため。クムジャは復讐と贖罪のために動き出す。

刑務所に出たクムジャに豆腐を差し出す神父(牧師?)に「なんていう奇行かしら」と思っていたのですが、韓国では出獄した人に豆腐を食べさせて二度と罪を犯さないように誓わせるという風習があったのですね。知らなかった。

以下、ネタバレです。

ディテールにリアリティのない映画でした。
まずは、警察何やってるの? っていうところです。ちゃんと捜査しろよ。明らかに冤罪じゃないか。それに同じ英語教室なのに違うクラスだからって、なんで真犯人が捜査線上から外れるの? わけわからん。
誘拐を繰り返していた真犯人の動機もわけが分かりません。結局お金めあてなのか、変質者だったのか。お金だけの問題だったら、親に見せるでもない子ども殺害時の映像なんて、わざわざ撮らないしなあ。
あと、クムジャと娘を襲った2人の死体はどう処理したのでしょうか?
あとそれから……と、挙げていけばキリがありません。

立ち位置が分からないキャラもいました。特にクムジャと一緒に洋菓子店で働いている若者と、神父さん。若者が重要な役割をするわけでもないのにクムジャと男女の関係になってしまうし、神父さんはわけもストーキングした挙げ句に真犯人にクムジャの行動を密告するし。なんでしょう。

まあ、リアリティもキャラの立ち位置も無視してお話だけを楽しむ映画なんだとすればいいでしょうか。
前半の、出獄した後のクムジャと服役中のクムジャが交差する流れは楽しかった。聖女みたいな服役中クムジャと悪女っぽいクムジャとのギャップが良い。
後半は真犯人に制裁を加える順番を決めるあたりが、筒井康隆のブラックユーモアみたいで面白かったです。
そして復讐が終わったー、と思ったら映画はまだ続きます。
そう、クムジャの真の目的は、贖罪。脅迫されたとはいえ殺人に手を貸してしまった。殺された男の子に許しを乞おうと、真犯人を殺害したのです。
しかし、クムジャの前に現れた男の子の霊は、クムジャを許しませんでした。
そこでクムジャは気づくのです。復讐と冤罪は違うのだ、と。

えー、あれだけひっかき回しておいて気づいたのはそれ?! と驚きました。
お世話になったクムジャさんに恩返しをしたいという刑務所仲間の気持ちや、殺された子どもの復讐をしたいという親の心を利用して、自分の復讐を果たしたことに良心をとがめられてはいるけども。それぐらいなら、13年間の服役中に気づいてほしかったな。そして復讐は復讐として割り切って行動して、はい、おしまい、としてほしかった。
でもまあ、一生かけて贖罪していくという決意が現れていたので良しとしましょう。

(部員Z)




部員Zが吐きまくっておりますね~素敵だ。w

批判箇所、私にも分かります。うんうん。しかし私は、この2作、結構好きなんです。ちょっと昔のやさぐれ邦画や劇画に通じるものがあって。(オールド・ボーイの原作が日本の劇画とは、つい最近まで知りませんでした。)血まみれ怨み節と言いましょうか、とても扇情的内容で、その場の思いつきのように展開し、未消化ながらも勢いで見せつける。現在のTVドラマの拡大版的日本映画やマーケティングの産物としか言いようの無いハリウッド映画群には無い無茶苦茶さがあって、とってもよいんではないかと思うのです。と言いつつ、数年前の私、『冬ソナ』大流行で、ヨン様、ヨン様とギャーギャーわめく叔母様、お嬢様方を見るだけで、韓流=しょうもない、と勝手に決め付けておりました。しかし『クムジャさん』、地元の映画好きのお友達のすすめもあって、付き合い程度、ちょっと見てみるかなってな具合にレンタルしたのです。事前情報、『チャングムの誓い』の主演女優が出てると聞きましたが、チャングム?ガンダムなら知ってるけど?ってなぐらいのものでした…が、しかし、面白かった。(単純な人間なんです、私。)さらに調子に乗って『オールド・ボーイ』『復讐者に憐れみを』『殺人の追憶』(←これが一番面白かった。)『グエムル / 漢江の怪物』(なぜか、ソン・ガンホ率高し。)と立て続けに借り、そのどれも一定基準より上の満足度。韓流って、なかなかと認識を新たにしました。

確かにネット上の評価をみますとこの2作品は評価が二分しておりますね~この部室でもこの通りで、好き嫌いがはっきりと分かれる映画だったのですね。この差は面白いな~ふむふむ。私のようにささくれ立ったモノを見すぎて、心根の腐った人間にも結構、楽しめるじゃないか、韓流 っとエールを送りたい気もするが、今、必死になって弁護したい気分じゃないしな~ww まぁ、人それぞれって事で、とりあえずこの辺で終わらせておこう。



いや、まだ終われない。
パク・チャヌク監督の映画のポイントは女優が不意をつくようにチチを出す所!
そこん所だけでよし!!と、小声で付け足しておく。ではでは。

(部員M)

4 件のコメント:

  1. 殺人の追憶 私も大好きな作品です。
    韓国っぽさが分かってくると楽しめるかもしれませんね・・・^^;
    ポン・ジュノ監督は今後も注目しています。
    母なる証明、好きです。
    ほか、
    セブンデイズ、チェイサーもおすすめです。
    Zさんにはちょっと・・・無理かもしれませんが^^;

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  2. どもども、いつもお世話になっております。
    うわさで聞いたのですが『アジョシ』が結構いいらしいですね。『母なる証明』『セブンデイズ』『チェイサー』レンタル屋さんで探してみます。韓流といえば当ブログにすでに書き込みましたが『下女』がなかなか珍妙で味のある映画でしたよ~w

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  3. 下女、DVD化されるかしら、待ってみます!
    アジョシは、、、中くらいオススメ度です^^;笑
    ウォンビンファンには嬉しい作品かもしれませんが
    ちょっとスピード感に欠けました。残念。
    もうすぐ公開の「哀しき獣」を楽しみにしています。
    チェイサーのホンジン監督です。

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  4. 『下女』は…
    そのうち500円ぐらいの廉価版で出てるかも?…w

    ちなみにいま一番みたい映画は『電人ザボーガー』です!

    (部員M)

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